明治34年に創業した地域密着型の総合建設工事会社。土木・建築工事が主体で、3代に渡って道を造り、線路を開き、数々の公共工事を手掛け、松本の街を作り上げてきた老舗企業です。
3代目原山社長は80歳を過ぎ、後継者不在に悩まされており、「このままでは原山組の歴史が途絶えてしまう」との思いから、取引金融機関に相談し、長野県事業承継・引継ぎ支援センターへ相談取次となりました。
当センターでは下伊那郡阿智村にある㈱GUD工業を紹介し、M&Aによる承継が成立しました。企業の借入金も引き継がれ、経営者保証も鴬巣新社長が引き受けましたが、負担を感じていたことから、センター担当者が経営者保証解除支援制度の利用を提案し、経営者保証コーディネーターへ解除支援について相談取次があったものです。

同社は令和3年12月に株式譲渡契約が成立し、事業承継実施となりましたが、実施後3年以内の企業は経営者保証解除支援制度の対象となるため、経営者保証コーディネーターは、親会社である㈱GUD工業の久保田社長と㈱原山組の鴬巣新社長との面談を実施しました。
3期分決算書を確認したところ、令和3年5月期決算での要件が不足していたため、充足に向けたアドバイスを行いました。
親会社であるGUD工業の協力と鴬巣新社長による経営努力により、令和4年5月期決算では要件を全て充足することができました。
経営者保証コーディネーターは鴬巣新社長に同行し、取引金融機関3行へ解除支援制度の説明と解除依頼を行いました。

取引金融機関3行とも本制度を理解し前向きに対応いただき、原山組の借入金の経営者保証を全て解除することができました。本件は事業承継の課題の一つであった経営者保証が解除でき、中小企業の支援に繋がる事例となりました。