公益財団法人長野県産業振興機構

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「真空成形型式副木(医療機器クラスⅠ)」を産学官連携で事業化

事業者名

ファミリー・サービス・エイコー株式会社

事業内容

医療機器・オーラルケア製品・浄水器等の企画・開発・製造

事業者データ

  • 代表者/石田 幸司
  • 所在地/長野市居町43-1
  • 従業員数/44名
  • 連絡先/026-259-3101
  • URL/https://fs-eiko.co.jp/

活用した補助金・支援制度等

専門的コーディネーターによる伴走的支援事業

企業の現状及び支援の経緯

【真空成形型式副木 「ボディフィックス・スプリント」】

ファミリー・サービス・エイコー㈱は、磁気治療器などの医療機器、歯ブラシなどのオーラル製品、そのほか浄水器やシャワーヘッドなど、日常的に使用されるさまざまな製品に新しいアイデアを取り入れる研究開発に、日々取り組んでいる企業です。
信州医療機器事業化開発センターでは、令和3年8月に大町市の北アルプス広域消防本部で「救急現場のシミュレーション訓練見学会」を開催し、救急救命士から、「従来の副木(腕や足の骨折部を迅速に固定する器材)は、欧米製でサイズが大きいため日本人の体形に合わず、素材が厚く腕や足に巻きつけにくい、体液等で汚染した場合に清拭しにくい、高価で買い替えが困難などの課題がある」というニーズをいただきました。そこで、見学会に参加した県内企業の中から、磁器マクラなどのエアバックを応用した医療機器の製造・販売に実績のあるファミリー・サービス・エイコー㈱とマッチングし、課題解決のために新たな副木の開発に取り組むことになりました。

実施した支援内容

信州医療機器事業化開発センターでは、医工連携プロジェクトマネージャーが中心となって、マッチングから開発、販路開拓に至るまで総合的に伴走支援を行いました。
・北アルプス広域消防本部からの救急現場のニーズと、同社の製品化技術をマッチング
・広域消防本部、信州大学、信州メディカル産業振興会と協力し製品仕様の検討
・救命救急の分野で影響力のある信州大学や国士舘大学のKOL(Key Opinion Leader)を紹介し、試作品への助言と評価
・特許出願の他、デザインや商品ロゴの意匠登録、商品名の商標登録などの知的財産に関する支援
・信州大学医学部附属病院高度救命救急センターによるプロモーションビデオの撮影協力
・商品化や広域消防本部への寄贈に関するプレスリリース支援
・「日本臨床救急医学会総会」併設の企業展示会や「救急資器材展2023」等への出展支援や救急専門商社とのマッチング

【商品ロゴマーク(商標登録済)】

支援の結果及び今後の展開等

【令和4年7月 21 日(木) 長野県庁で行った記者会見での デモンストレーションの様子】

新たに製品化した副木「ボディフィックス・スプリント」は、腕や脚などの痛みの激しい骨折や外傷などの患部に巻き付け、中の空気を吸引することにより発砲ビーズが収縮することで簡単に固定でき、専用ガーゼにより外傷の処置も同時に行えるため応急処置を迅速に行うことができるようになりました。日本人の腕や足のサイズに合わせた3タイプ(L・M・S)のラインナップがあり、しなやかで取扱い易く、清拭し易い素材を採用しており、副木を着けたままX線検査が可能です。また、価格は従来の欧米製品の半額程度を実現しています。
令和4年7月には長野県庁会見場において記者会見を開催、11月には販売を開始しました。令和5年2月には北アルプス広域消防本部において贈呈式を行い、規模が大きな他の消防本部や消防局等への寄贈を予定しています。県内における配備実績を背景に、今後は全国の消防隊への普及、さらにその先はアジア等の海外展開を目指していきます。

参画機関

北アルプス広域消防本部、信州大学 医学部附属病院高度救命救急センター、信州大学 学術研究・産学官連携推進機構、信州メディカル産業振興会

担当部署

公益財団法人長野県産業振興機構 信州医療機器事業化開発センター

〒380-0928 長野市若里1-18-1(長野県工業技術総合センター3階)
[TEL] 026-217-1634 [FAX] 026-226-8838
[Email] med [at] nice-o.or.jp
※[at]は@に置き換えてください

支援を受けて

ご支援を頂きました効果としましては、医療現場ニーズを基にした開発で医療現場向けの医療機器分野への進出のきっかけができたこと、ハードルが高かった専門関係者(救急関係者、広域消防局やKOL)とのスキームによる開発スピードアップ、学会展示会出展の機会が創出できたこと、プレスリリース等のテクニカルなご支援を頂いて当社の活動を広く周知できたことが挙げられ、大きな成果が得られました。

取締役専務 小川 宏

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