公益財団法人長野県産業振興機構

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海外製消化器ステントの国産化と新規開発した脳生検針の拡販支援

事業者名

高島産業株式会社

事業内容

医療機器製造、精密挽物部品製造、精密研磨、ICウェハ研磨、電子機器組立、機器設計製作

事業者データ

  • 代表者/小口 武男
  • 所在地/茅野市金沢5695-6
  • 従業員数/240名
  • 連絡先/0266-78-8825
  • URL/https://www.takashima.co.jp/

活用した補助金・支援制度等

令和2年度医療機器開発等支援補助金(ステント)
専門的コーディネーターによる伴走的支援事業(生検針)
プロデュースによる事業化促進事業

企業の現状及び支援の経緯

【ボーリングバイオプシーニードル外観】

同社は、金属、セラミック等の高精度微細加工技術をコアテクノロジーとして、時計部品、半導体関連の精密微細加工等を主要事業としており、近年ではレーザー加工技術、表面処理技術、難加工材の加工技術を強みとして多くの医療機器開発に挑戦中です。

ステントは669億円の国内市場の内、輸入率は64.4%(2015年厚生労働省薬事工業動態調査)にのぼっており、他の医療機器同様に国産化が望まれています。大腸ステントは大腸の狭くなった部分を広げる目的で適用されますが、大腸の大きな動きに追随する必要があり、変形に対する耐久性と拡張力が求められます。

脳腫瘍の検査のために組織を採取する脳生検術は、従来方法では低侵襲性と高い診断能力の両立が困難でしたが、信州大学において開発されたボーリングバイオプシー法はその両立を実現しました。この優れた方式を臨床で広く応用していくために、医工連携体制のもとで同社により生検針「ボーリングバイオプシーニードル」が開発されました。

実施した支援内容

【ボーリングバイオプシーニードル使用方法】

当機構では、開発費の助成を中心にした開発支援、展示会等による販路開拓支援を行いました。

・大腸ステント開発費の助成(補助金交付)

・ボーリングバイオプシーニードル開発試作費の助成(補助金交付)

・国内展示会への出展支援(日本内視鏡外科学会、諏訪圏工業メッセ、等)

・医療機器の設計・製造に関する展示会「Medtec」におけるイノベーション大賞への申請支援

・コンサルティング会社の伴奏支援による事業化戦略策定支援

支援の結果及び今後の展開等

【大腸ステント外観】

大腸ステントは、大腸の大きな動きに伴う変形に耐え得る高耐久性を実現する加工条件を最適化し、大腸の動きを模擬した耐久性試験を行った結果、海外製の従来品と比較して2.5倍以上の耐久性があることが確認できました。また、製造工程、品質保証体制を整えて医療機器製造業として量産可能になりました。

生検針は、医療機器の設計・製造に関する展示会「Medtec」(後援:経済産業省等)におけるイノベーション大賞入賞6社の中で「チャレンジ賞」を受賞し、医工連携による医療機器創出の成果が認められました。

また、事業化戦略策定支援により、同社の医療機器事業の立ち位置をを明確化し今後の展開について方向性を示唆することができました。

参画機関

信州大学 学術研究・産学官連携推進機構
信州メディカル産業振興会

担当部署

公益財団法人長野県産業振興機構 信州医療機器事業化開発センター

〒380-0928 長野市若里1-18-1(長野県工業技術総合センター3階)
[TEL]026-217-1634 [FAX]026-226-8838
[Email]med[at]nice-o.or.jp ※[at]は@に置き換えてください

支援を受けて

大腸ステントは、金属材料の結晶組織レベルでの評価と、耐久試験により破断メカニズムの解明を進め、従来品より高い耐久性を実現できる加工条件が究明でき、国産化に目途が立ちました。

生検針は、脳内の健常組織や血管を不必要に傷つけることなく、脳表面から腫瘍までの組織を連続的かつダメージ無く採取することができるようになりました。他分野の生検手技への応用もできそうです。

開発部開発課 係長 佐藤 洋

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