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サポイン事業での支援 水素社会に向けた耐水素脆性結晶微細化ステンレス棒材の開発

事業者名

株式会社小松精機工作所

事業内容

各種精密機械部品製造・難削材の切削・研削加工

事業者データ

活用した補助金・支援制度等

戦略的基盤技術高度化支援事業(R3~R5年度サポイン事業:経済産業省)

企業の現状及び支援の経緯

同社は、精密機械部品製造技術で地域未来牽引企業として業界をリードしている企業です。環境対策の動きから新たな市場が生まれ、特に水素エネルギーは次世代エネルギーとして注目されており国を挙げて強化策が明示されています。その中、同社では材料から開発する必要があると考え、2001年から金属の結晶粒径を微細化する技術を開発してきました。この結晶微細化については兵庫県立大学の鳥塚史郎先生と共同研究してきており、この内容について、令和3年度の基盤技術高度化支援事業(以下「サポイン事業」)への申請の結果、採択され3年間支援をしてきました。現在は事業化に向けて引き続き伴走支援をしています。

実施した支援内容

【開発した溝ロール圧延機全体像】

同社では、温間温度域の加熱と強圧延技術を組み合わせる加工法を開発しており、サポイン事業をとおして新型の圧延機を製作しました。また兵庫県立大学では今まで大きな部屋で大きな機器を使用して評価していた水素の脆性評価を非常にコンパクトなサイズで評価できるシステムを開発し、この評価システムを用いて水素の脆性評価をしたところ、同社の開発した圧延機で製造した金属が高耐熱・高耐水素脆性の性質を持つことがわかりました。この材料について学会などを通して報告したところ、パイプ形状のものが欲しいとの引き合いがあり、パイプの製作にも取り組みました。また兵庫県立大学の評価システムについても市場から高い評価を得られています。

支援の結果及び今後の展開等

水素関連の部品の材料としては、SUS316が規格で決められていますが、この材料の組成に手を加えることがなく、加工方法のみで耐水素脆性を上げることができたことは、水素関連の製造企業からも評価をいただいています。また、この結晶微細化に関しては医療関係からも注目をされていてチタン材料についても研究したところ、同じ方法で結晶を微細化できることがわかりました。このことは海外からも注目を集めていて、更に高付加価値の部品を作るべく共同研究開発を推進し、事業化に向けても支援をしてまいります。

【微細加工後のパイプ】

参画機関

兵庫県公立大学法人兵庫県立大学

担当部署

公益財団法人長野県産業振興機構 グリーンイノベーション推進部

〒380-0928 長野市若里1-18-1(長野県工業技術総合センター3階)
[TEL]026-217-1634 [FAX]026-226-8838
[Email]shinsangyo[at]nice-o.or.jp ※[at]は@に置き換えてください

支援を受けて

結晶を微細化することにより組成を変えずに水素脆性が上げることが可能となり、水素関連の部材を扱う企業への展開が進んでいます。また、材料を変えることにより医療分野への展開も開け米国企業からの問い合わせが来ています。兵庫県立大学で開発した水素脆性評価方法と併せて、これからも事業化を目指していきます。

専務取締役 小松 隆史

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