
支援活用事例
無機結晶材料による地下水浄化システムの開発 ~信州からグローバルへ~
事業者名
ヴェルヌクリスタル株式会社
事業内容
・各種結晶等の機能性材料の開発、製造ならびに販売
・材料を用いた機器および部品の設計、製造ならびに販売
・関連する情報、ソフトウエアおよびデータサービスの提供
・技術およびノウハウの供与ならびにコンサルティング
事業者データ
- 代表者/田中 厚志
- 所在地/ 長野市若里4-17-1 信州大学工学部内 長野市ものづくり支援センター 405号室
- 従業員数/12名
- 連絡先/026-217-6585
- URL/https://www.vernecrystal.com/top
活用した補助金・支援制度等
イノベーション創出事業、IPランドスケープ支援事業(INPIT長野県知財総合支援窓口)
企業の現状及び支援の経緯

同社は、信州大学工学部手嶋研究室が有する、無機単結晶育成技術「フラックス法」をコア技術に2022年に事業を開始しました。フラックス法は、安価で量産性に優れた結晶育成技術で、材料が持つ機能を最大限に引き出すことができます。この技術を通じて水に含まれる有害な重金属イオンや、フッ素・ヒ素などの陰イオンを選択的に吸着除去できる浄水材料や、水処理に特化した高性能な結晶材料を創製し、浄水器や水処理システムなどの企業との連携によって、効率的で持続可能な分散型水処理システムを実現できます。同社は課題となる営業展開を検討中に「イノベーション創出事業」を紹介され、申請の支援を受けて採択となり地元の水処理関連企業と連携した地下水浄化システムの開発を進めています。
実施した支援内容

1.イノベーション創出事業 イノベーション創出支援補助金 (令和4~6年度)
申請にあたり市場分析や自社のSWOT分析など事業計画立案のため様々な観点からアドバイスしました。この補助金の採択により、県内外への事業PRや連携先企業との共創を進める上でも大変効果的でした。
2.IPランドスケープ支援事業 (INPIT長野県知財総合支援窓口) 知財戦略においては、国内外で同様な特許技術を他社が有していないか、さらにその技術動向など今後の連携や展開を見据えて参考となりました。
支援の結果及び今後の展開等

従来の除マンガンシステムを今回開発したカートリッジシステムに置き換えることでコンパクトになり、さらに薬液や電力消費量を大きく低減できる可能性が浮上しました。令和5年秋には内閣府が推進する戦略的イノベーション創造プログラムの「マテリアルユニコーン予備軍の創出」に採択され、国のサポートも受けつつ事業活動中です。現在、家庭用浄水器をターゲットとした重金属イオン除去用の結晶材料の製造販売と事業所用、村落単位の小規模分散型水処理システムの検討・開発中ですが、長距離の送水管を有する水インフラは災害時の復旧や老朽配管の更新に難点があり、今後、自律分散の小規模水処理システムや循環的な水利用ニーズが高まると考えられます。同社の技術は大規模な電力施設は不要で、簡便かつ保守の負担も軽いため、この価値をグローバルへ展開していきます。
参画機関
国立大学法人信州大学
INPIT長野県知財総合支援窓口((一社)長野県発明協会)
担当部署
公益財団法人長野県産業振興機構 ITバレー推進部
〒380-0928 長野市若里1-18-1(長野県工業技術総合センター3階)
[TEL]026-217-1635 [FAX] 026-226-8838
[Email] it-valley [at] nice-o.or.jp
※[at]は@に置き換えてください
支援を受けて
スタートアップ企業にとっては、事業の準備段階で地域企業や行政との連携、ネットワーク作りはとても重要ですが、本事業に採択され、その構築が加速できたことは大変有益でした。今後のビジネスのコアとなる水処理のカートリッジや処理ユニットといった機能をもった製品につながる開発の成果を得られ、事業の成長が期待されます。今後はターゲット市場での多様な水処理ニーズに応える技術開発を進め、信州発の革新的な水処理ソリューションをグローバルに展開していきます。
代表取締役 田中 厚志 氏
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