公益財団法人長野県産業振興機構

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アモルファス金属ガラスを用いた磁歪式トルクセンサを開発

事業者名

多摩川精機株式会社

事業内容

精密機器製造

事業者データ

活用した補助金・支援制度等

戦略的基盤技術高度化支援事業(R2~R3年度:経済産業省)

企業の現状及び支援の経緯

多摩川精機㈱は、産業用ロボット、工作機械等の位置決めに必要な角度センサやサーボモータ、電気自動車・ハイブリッドカーの電動パワーステアリングに使われる角度センサ(VRレゾルバ)などを製造しています。近年、車の自動運転に関する技術開発が急速に進む中で、車軸(シャフト)にかかる負荷トルクを、正確かつリアルタイムに検知できる小型のトルクセンサが必要となっています。多摩川精機㈱は、R1年度に溶射※工法を用いたアモルファス金属ガラスの成膜について信州大学等と共同研究を行い、特性の優れた車載用トルクセンサの開発に目処をつけました。しかし、小型、高精度でかつ耐環境性に優れた磁歪式トルクセンサを実現するためには、引き続き研究開発を行う必要がありました。そこで、この研究開発について、戦略的基盤技術高度化支援事業(以下サポイン)への申請について相談を受け、支援を行いました。

※溶射:材料を溶かしたり溶融に近い状態で吹き付けて成膜する技術

実施した支援内容

サポイン事業(経済産業省)の導入にあたり、以下の支援を行いました。
・ 申請書の作成指導・添削ブラッシュアップ・申請事務手続きの実施
・ 採択後、国との総合窓口(事業管理機関)として、事業の遂行・経理管理を実施
研究開発計画の運営管理;
研究機関の研究員、アドバイザー、当機構により研究開発推進委員会を構成し、定期開催により、研究開発計画の進捗状況の把握と研究開発の進め方等についてのアドバイス
経理管理及び事業報告;
共同体(企業、大学、アドバイザー)を取りまとめ、補助金の交付申請、月々の経費管理と実績報告、補助金の額の確定と支払い、取組内容や成果をまとめた研究開発実績報告書の提出等

支援の結果及び今後の展開等

1.研究開発項目と結果
開発した磁歪膜トルクセンサは、以下の研究開発により、従来品と比べて遜色ないセンサ精度を維持しつつ、1桁以上の高速応答性(リアルタイム性)と大幅な小型化を実現しました。
○専用溶射装置の開発と溶射条件開発
溶射装置:溶射時の軸温度安定度;±10℃以下、サイクルタイム;25sec以下
磁歪膜の特性:リニアリティ;±0.5%F.S.以下、ヒステリシス;±0.1%F.S.以下
○高速変換及び高速通信対応の専用ICの開発
専用ICの性能:応答周波数;10kHz以上、通信速度;5Mbps以上
2.事業化探索と今後の展開
アドバイザーの協力を得て、上記の研究開発と並行してマーケティング活動を実施しました。
多摩川精機㈱では、Tier1メーカー等からいただいた意見を参考にして、事業化に向けて展開していく予定です。当機構は、展示会への出展支援などを通じて引き続き支援していきます。

 

参画機関

信州大学工学部

担当部署

公益財団法人長野県産業振興機構 伊那センター

〒399-4501 伊那市西箕輪2415-6(伊那技術形成センター内)
[TEL] 0265-76-5668  [FAX] 0265-73-9023
[Email] nice-ina [at] nice-o.or.jp
※[at]は@に置き換えてください

支援を受けて

支援を受け、サポイン事業の採択を得ることができました。また、適切な事業管理により、滞りなく研究開発を進め、開発目標を達成することができました。並行して取り組んだマーケティング活動では、自動運転化や電動化(EV化)が進む自動車業界において、Tier1メーカーに対し新センサの技術と有効性を紹介でき、新規ビジネスの可能性を拡げることができました。

センサトロニクス研究所 所長 石橋 和之 氏

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